相続登記の必要性 |
相続により親が居住していた不動産を取得したけど、誰も住まなくなったので空き家のまま放置という不動産はよくあります。 不動産を放置すると雑草は生え放題、家はカビ臭くなって朽ちていく一方なので良くありません。 そしていよいよ売却しようと思ったとき、名義が亡くなった方のままだと売却は出来ません。相続登記をする必要があります。 相続登記を行うには遺言書がなければ遺産分割協議書を作成する必要があり、遺産分割協議書を作成するには亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本等を揃えなければなりません。 そして遺産分割協議書には法定相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。 亡くなってすぐならまだしも、何年も経つと相続人となるべき人も変化してる可能性もあり、また連絡がつかない人も出てきます。 せっかく購入希望者が現れたのに、相続登記が進まずに、契約が流れてしまうケースもあり得ます。 そうならないためにも、不動産を相続されたのなら売却の予定がなくても相続登記は済ませておくべきです。 ※2024年4月1日より相続登記は義務化されます。 ※登記手続きは司法書士が行います。 |
相続登記は出来るなら単独で |
先の遺産分割協議で不動産を誰の名義にするか決めます。1人の場合もあれば兄弟などで共有の場合もあるかと思いますが、売却する時のことを考えれば出来るだけ単独で登記されるのが望ましいと思われます。 不動産の売却を宅建業者に依頼した場合、通常「媒介契約書」を交わします。 これは「不動産を売るための活動をすることを依頼します」的な意味なのですが、その不動産の所有者全員の署名が必要になります。誰か1人が代表して代筆するのは危険です。署名していない共有者から「売るとは一言も言ってない!」と主張されると、収拾がつきません。必ず全員の意思を反映させてください。 そして、購入希望者が見つかりいざ売買契約書を交わす際にも全員の署名が必要です。この時は委任状(実印・印鑑証明書)を交付して、誰か1人が代表で行うケースもよくあります。しかし、急遽契約が決まったのに、委任状作成に手間取って契約日が設定できず、購入希望者が他の物件に目移りしてしまった!なんて事もあります。もったいないですね。 そして、最後の物件引き渡し時には司法書士の立ち合いのもと決済を行いますが、必ず共有者全員が司法書士の先生による「本人確認」と売却の「意思確認」が必要となります。これを省くことは出来ません。共有者の1人が他府県など遠方の方の場合などは日程を合わせるだけでも一苦労です。 手続きが煩雑でも構わない!と言う事であればそれでも良いのですが、不動産の売却は売主だけの都合で進められません。必ず相手「買主」がいます。 契約を交わす前であれば、売り時を失っただけで済むかも知れませんが、契約後に共有者が揉めて手続きが進まなくなったら契約違反による「違約金」の問題になりかねません。 人それぞれの都合がありますので、絶対の正解はありませんが、出来ることなら相続登記は「単独」でされる方が売却されるには何かと助かることと思います。 |
換価分割 |
換価分割とは、不動産などの現物を売却して現金に換えてから分け合う方法です。 不動産を平等に分けるには、共有する方法でも実現できますが、先の記述のように売却時に苦労します。 そこで、売却し現金化すれば公平に分け合うことが容易になります。 単独名義にした不動産を売却した場合、売却代金もその名義人の方が全て受け取ることになります。 でも、不動産を売却した代金を均等に分ける予定で、便宜上例えば「長男」名義にしただけの場合、その後、長男から他の相続人に現金を渡して「贈与税」の問題が生じないか?という心配があります。 他の相続人に分ける行為が、相続とは無関係に行われたと判断されてしまうと、「贈与税」がかかってしまうかも知れません。 それを防ぐには「遺産分割協議書」に換価分割する旨を明記する必要があります。 不動産を売却換価し、売却代金から売却に伴う諸費用を控除した金額を共同相続人間で分け合う旨を記載することで、贈与税の心配を防ぐ事ができます。 |
譲渡所得 |
先に記載した換価分割により公平に分けても、各相続人間でその後の税金に違いが生じる場合があります。 不動産を売却した際の譲渡所得税には、居住用資産の売却の場合には、「3000万円の特別控除」の特例があります。 不動産を売却して所得があれば所得税がかかるのですが、その不動産が居住用であれば、要件を満たすことで3000万円まではその所得を控除できるという特例です。 では、相続人間で税金に差が出るとはどう言う場合かというと 例えば 被相続人の遺産は自宅の不動産だけ 相続人甲(被相続人と同居) 相続人乙(被相続人とは別居) この不動産を換価分割して甲乙均等に分けた場合、甲は、居住用不動産売却の3000万円特別控除が適用されますが、乙にとっては居住用の不動産では無いので、特例は適用されず譲渡所得税がそのまま課税されます。 このように公平に分けたつもりの遺産が、その後の税金の違いにより手取りが思惑と違ったと言うことも起こり得ます。 思わぬ税金に慌てないように、税理士等の税金の専門家に事前にご相談されることをお勧めします。 当事務所の提携税理士をご紹介することも出来ますので、お気軽にご相談ください。 |
不動産を売るタイミングは? |
相続で不動産を取得したあと、ずいぶん長期間放置される方が多くいらっしゃいます。 〇相続手続きでバタバタして ◯将来戻って来るかも知れないので 〇思い出があるので 〇そのうち考えようと 〇兄弟間で意見がまとまらず 〇遺品整理が大変で 私はいつもこのようにアドバイスをさせて頂いております。
みなさん色んな事情を抱えています。後悔しないためにも納得出来るまで話し合ってみて下さい。 本当に「必要」と答えが出たのならそれが現状の正解だと思います。 大切にお手入れして下さい。
売る事を悩んでおられる場合、例えば人の「思い出」に土足で踏み入るような事はしたくありません。 でも、売る事は決定事項なのであれば時間をかけて良いことはあまりありません。 所有する事で固定資産税、管理費、積立金等の維持費はかかります。建物は日がたてば当然古くなる分評価は下がります。 古い一戸建てなどの場合、台風などの被害も心配です。 滅多に帰らないので、雨漏りしている事に気づかなくて、大変な事になっていたと言うケースもありました。 極端なお話しをすると、隣家の火災で類焼で被害を受けたり、近隣でニュースになるような事件が起きたり。 何にせよ空き家の期間が長くて良い事は本当にありません。 不動産業者による「買取り」であれば、建物内の動産の処分を引き受けてくれる場合もあります。 遺品整理が必要であれば専門業者のご紹介も可能です。 不動産の処分のからむ相続は何かと手続きが大変なイメージがありますが、順を追って一つずつ片づけていけば案外難しいものでもありません。 不動産業界歴27年。不動産のからむ相続手続きなら専門中の専門です。 まずはお気軽にご相談ください! |